トレード分析の種類(オシレーター系テクニカル分析)③移動平均線乖離率

③移動平均線乖離率
単純に任意の移動平均線が現在の価格とどれだけ離れている(乖離している)かを表す指標となります。
一般的には中期移動平均線の25日線を基準に見ていく場合が多いですので、今回は25日移動平均線との乖離率を見ていくようにしましょう。
どの時間軸でトレードしているかによって移動平均線の基準が変わってきますので、手法に合った移動平均線を使用してください。
では以下のチャートで確認していきましょう。
ゼロラインを中心に、ラインが上下に移動しているのがお分かり頂けるかと思います。
また、一般的には、乖離率が上下に±5%を超えてくると相場の過熱感が出ていると判断し、上下に±10%を超えると相場の行き過ぎが発生したとして、天井圏や底値圏を示唆していると判断することができます。
ただ、RSIの時の注意点と同じ様に、単純に数値だけを過信したトレードをしていると、必ずどこかで大きな損失を被ってしまうこととなります。
正しい見方のイメージとしては、買いであれば5%を超えてくると過熱感が出ていることを示し、その過熱感はなかなか冷めない場合や、さらに加速する場合もあるということです。
例えば、上記チャートのように5%を超え、そして10%も突破したので売りを仕掛けたとします。
では、以下のチャートで確認してみましょう。
いかがでしょうか?
乖離率が10%を超えているにも関わらず、価格はどんどん上を試しにいっています。
このまま上昇しても、それは想定の範囲内であるということをしっかりと認識した上で計画的なトレードの組み立てと、余裕資金を持っていれば、それに沿った使い方もありますが、ただ単純に数値に頼った仕掛けをしていれば破産してしまいますので注意しましょう。
高い位置(10%以上)の時間調整で熱を冷ましてから再度上昇なんてこともありますからね。
【乖離率の特徴】
乖離率は当たり前ですが、移動平均線と現在の価格が離れてはじめて発生するものです。
では、どのような状況になった場合に乖離していくのでしょうか?
それは、価格が急激にどちらかの方向に、平均値が付いてこれないぐらいのスピードで動いた時ですね。
移動平均線は平均値ですから、一度大きく離れると再度その平均線に吸い寄せられる動きが発生します。
乖離率はその戻ってくる動き(反発)を利用するということになります。
ですから、大きく乖離した場面では、『相場が行き過ぎている』と判断し逆張り的な根拠の一つとして使用することができます。
また、先程「急激なスピード感のある動きをした時」と言いましたが、逆にスピード感のない値動きの時には、乖離が広がりませんので、有効な指標とはなりません。
この乖離率は、どちらかというと売りの流れからの反発の時に機能しやすくなります。
それは、下落と上昇のスピード感がカギを握っているからなのです。
相場の格言で『買いは遅かれ売りは早かれ』と昔から謳われています。
これは、相場のスピード感を表現した格言で、買いの場合はゆっくりとジリジリと上昇していく傾向があるので遅れても待ってくれるのですが、売りの場合は一気に下落してしまうのでついて行くことが難しいというものです。
ということは、売りの方がスピード感があるということになりますね。
重力の法則と同じで、ボールを空に向かって投げた時にある一定の場所に到達すると一気に急降下してくるのと同じ原理です。
ですから下方向への動きの方が一気に動くがゆえに乖離しやすくなるということになります。
これらの特徴をしっかりと理解した上で上手に使用することをお勧めします。
以上、トレンド系とオシレーター系のテクニカル分析の一部をご紹介してきましたが、「全てを使えばトレードが上手になるんだ」という考え方ではなく、まずは、それぞれの理屈や特徴をしっかりと理解した上で、その相場に合ったものと手法を融合させながら使用していくようなイメージを持っておくといいかと思います。
残念ながら、トレードの世界は学校のテストのように、
『全てを完璧に理解できた=勝てる』という方程式は成り立ちません。
「え~っ!せっかく勉強してきたのに~!」と言われるかもしれませんが、まずはそういうものなんだという理解を持っておいてください。
それが紛れもない現実ですのでね。
ただ、勉強しないと何も始まらないというのも事実ですので、今は勉強して土台を作り、その後に『いつどのように使えばいいのか?どのような状態でエントリーするのか?』という『手法』を身に付けて頂ければと思います。
では、大変でしょうが、もう少し土台となる基礎を勉強していきましょう!