トレード分析の種類(トレンド系テクニカル分析)②移動平均線

おそらく、トレードをやってみようと思われる方のほとんどが、この言葉を最初の方に聞くであろうというぐらい一般的な指標になります。
移動平均線というのは、チャート上に描かれる折れ線グラフのようなもので、その名の通り、ある期間の価格の平均値を線グラフにしたものです。
まずは以下のチャートを見て何となくのイメージを頭に入れておいて下さい。
赤色の線で描かれているものが移動平均線となります。
では、何となくのイメージをして頂いた上で、もう少し具体的にお伝えしていきましょう。
移動平均線は、ローソク足の終値(ローソク足が完成した時点での最終価格)を指定した一定期間数の平均値を結んだ線グラフとなります。
一定期間数という表現を使用したのは、この平均値を取る期間は自分で設定することができるからです。
先程お伝えした日足や分足、週足、月足、年足などとなります。
今回は分かりやすいように『日足』のローソク足を使ってご説明していきたいと思います。
呼び方については、5日間で設定した移動平均線のことを
『5日移動平均線(以下5日線)』という呼び方をします。
また、これが分足の移動平均線になると『〇分移動平均線』という風に呼び方が少し変わってきますので覚えておきましょう。
これからお伝えしていく中で、表現を分かり易くするために、移動平均線の大まかな期間を以下に区分けをしておきます。
※期間につきましては、一般に多く使用されている期間を任意で採用しております。
5日線 | 短期移動平均線
(短期間の値動きの流れを見ていく場合に使用) |
20日線、25日線 | 中期移動平均線
(中期間の値動きの流れを見ていく場合に使用) |
60日線、200日線 | 長期移動平均線
(長期間の値動きの流れを見ていく場合に使用) |
※この区分に関しては、手法や伝える人によっては多少の概念の違いが出てきますので、「他の本には60日線は中期線と書いていた‥」などの混乱のない様にお願いします。
これが正解というものはありません。
一定の基準を持ってお伝えしていく上においての本書内での決め事です。
では、もう一度以下のチャートをご覧ください。
以下のチャートには、5日線、20日線、60日線、200日線の4種類を描画したものになります。
いかがでしょうか?
各移動平均線の波形が違っていることがお分かり頂けるかと思います。
短期移動平均線は小刻みに反応しているのに対し、移動平均線が長くなればなるほど緩やかな曲線になっているのが見えるかと思います。
これをもってして何をお伝えしたいかと言いますと、移動平均線を描画することによって、現在の値動きの方向性、今後の値動きの方向性が大まかに見えてくるということです。
それでは、この移動平均線をトレードにどのように活用していくのかについてお話ししていきます。
ちなみに、手法にもよりますが、私の場合はこの移動平均線だけで売買を行っている訳ではありません。
いわゆる、エントリー(仕掛け)する際の最終判断としては使用していないということですね。
では、どのように使用しているのかと言いますと、エントリーする際の最終判断としては使用しませんが、最終判断をする前の準備段階に使用しているのです。
ですから皆さんもこの移動平均線というものだけを手に入れた、覚えたからといって、勝てるようになるんだ、という思い込みはしないようにしておいてください。
世間では、「移動平均線だけで全てが・・・」というような謳い文句の手法もありますが、実際の現場では私からすると無理があると思っています。
移動平均線は遅行性(後で付いてくる)という特徴がありますので、タイムリーに使うのは実際には難しいのです。
「○○だけで・・・」という言葉は簡単そうで、響きがいいですからね。
少し話しが脱線してしまいましたので戻していきましょう。
先ほど『エントリーする際の最終判断』と『最終判断をする前の準備』という言葉が出てきました。
改めてこの二つの言葉の理解についてお伝えします。
私はこのようなイメージを持っております。
今お伝えしている移動平均線は
【大まかな方針、方向性を決める(目線を定める)】ために使用していくものになります。
ですから先ほど「移動平均線だけで全てが・・・」というような謳い文句に対して無理があると言ったのは、そもそも移動平均線というのは『正しい目線、方向性』を示すものであって、『エントリーサインとして使用』するものではないと私は思っているからなのです。
この私の捉え方が全て正しいとも言いませんし、使い方によっては上手くいくパターンが出てくるのも事実だと思います。
しかし、私はこの考え方で長年に渡って利益を出し続けているということも事実がありますので、今本書を読んで頂いている方は、取りあえずは素直に聞き入れて頂ければいいかと思います。
ウンチクが長くなってしまいましたが、初め(入口)が肝心ですので長々とご説明させて頂きました。
では、もう少し具体的に移動平均線の見方について確認していきましょう。
トレードには色々な手法や考え方があります。
その中の一つとして『時間軸』というものがあります。
『時間軸』というのは、聞いたことがあるかと思いますが、
・短期売買(デイトレードなど)
・中期売買
・長期売買
という大きく分類して三つに分けることができます。
今回は、この三つの内どれが良いとか悪いとかという議論ではなく、この三つのどれを選ぶかによって移動平均線の使い方、見方が変わってくるということをお伝えしていきたいと思います。
この時間軸は各自のライフスタイルによって変わってくるかと思いますので、まずはご自身のライフスタイルでどのような時間軸を取り入れることができるのかをしっかりと見極めて、そして決めておく必要があります。
例えば、普段お仕事で忙しい方であれば、デイトレ的な売買はそもそも合っていないでしょうし、時間がたっぷりとあるという方はデイトレもできる、という風に現実的に何ができるかを見ておくことが大切です。
どれが良いのか悪いのかではなく、時間的なことや、資金的なことなど、ご自身ができるものをチョイスするという考え方の方がいいかと思います。
では、三つの時間軸の分類に沿って見方を確認していきましょう。
短期売買を中心としたトレードをされる方は、最低でも一つ上の時間軸である中期移動平均線の方向を確認しておく必要があります。
中期売買を中心とされる方は長期移動平均線を、長期売買を中心とされる方は更なる上の移動平均線(週足や月足など)を見ていくこととなります。
このようなイメージですね。
このように、
実際に採用する時間軸よりも上の時間軸を見ておくことで、大きな方向性のイメージを持つことができ、トレードの質も向上していきます。
私はよく車のカーナビ設定に例えてお話しするのですが、
目的地を設定した後に、その目的地に向かうためには、まずカーナビの画面にスタート地点とゴール地点の全てを一つの画面で見ることができるように縮尺を大きく広げて
大まかな方向を頭の中にイメージします。
そうすることで、方向感が残像として頭の中に残ります。
そして、その後に画面の縮尺を小さくしていくことで、目的地までスムーズに走り続けることができるようになります。
初めの入り口を小さな縮尺で入ってしまうと、大まかな方向性がイメージできていないために、目線が細かくなり何度も何度もカーナビの画面を見てしまうことになります。
目線が頻繁にキョロキョロしていたら事故を起こしてしまう可能性も高くなりますよね。
トレードでの事故は大事な資金を飛ばしてしまうことになります。
この例えと同じことで、移動平均線というのは、
『大まかな方向性を頭の中でイメージして、目的地までスムーズに持っていくためのひとつのツールである』ということになります。
いかがだったでしょうか?
長々とご説明しましたが、移動平均線に対するイメージが少しはできたのではないかと思います。
ただ単に、移動平均線をチャート上に描画しているだけではなく、しっかりとした意味を理解した上で見ていくことで、トレードの質がどんどん向上していきますので、これからお伝えするその他のツールに対しても同じようにしっかりと理解できるように意識して読み進めていってください。